Gallery Hayashi、Art Bridgeはこのたび、若田勇輔による個展「Nobody」を開催いたします。

弊ギャラリーで初の個展となる本展では、若田勇輔を象徴する花びら型のフィルムを集積させた彫刻のシリーズを発表いたします。

若田は五感で人や物、空間といった対象を把握する際には、言語化不可能な要素(対象の内面や、そこから想起される個人的記憶、印象など)が介入し、それらが統合されることによって形容し得ない孤立した心象が自分の中に芽生える、という感覚を持っています。そしてそれらの言語化できない要素は、時間とともに変容する有機的なものであると考えており、そのイメージから自然物を思わせる若田独自の技法が生まれました。

彼は作品制作によって変わりゆく心象と向き合い続け、それらを彫刻作品やインスタレーションによって抽象的に描きとめます。

本展の発表作品である「Tokyo made out of Tokyo」は、これまでにもニューヨーク、ベルリン、上海などの街中でゲリラ的に発表してきた作品と同様のテーマで制作されており、移り変わる事象の乱雑性の中に、都市に潜む人間の混沌と空虚さを見出しています。

その他の発表作品についても、それら全てが若田の中に巣食う感覚、それそのものの成長の過程を描きとめたものです。

それぞれのテーマと対峙する中で生まれた抽象的な図像は、既存の概念が消失しており、いわば「誰でもないもの」「何でもないもの」と捉えられます。そのようなことを考えながら、本展のテーマを「Nobody」と設定しました。

特に若田は過去作品から継続して都市に住む人間の「自然からの乖離」というテーマに着目しています。それらは、ひいては画一的なシステムに生きる個人の固有性、アイデンティティの消失だと認識しており、その象徴とも言える本展の作品群によって、変容する社会における新しい自然(natural)を体現したいと考えています。

若田の目を通してみる感覚の世界とその変容を是非ご覧ください。

「China made out of china」 2019

若田勇輔 「Nobody」
会期 2021年3月26日[金]~4月4日[日] 
回廊時間 11:00〜18:00 会期中無休
場所 ギャラリー林、東京都中央区銀座7-7-16
オープニングレセプション:今回の展覧会につきましてはコロナウイルス感染の恐れを考慮しまして開催致しません